[2013年4月改組]
2013年4月をもって新たな組織に発展し、研究を展開しています。 > ライフサイエンス技術研究基盤センター
技術開発

タンパク質‐タンパク質相互作用

オミックス基盤研究領域では、複雑な生命現象を生体分子の相互作用のカスケードとして理解することを目指し、転写因子(タンパク質)による遺伝子発現制御ネットワークの解明を進めています。当研究グループでは、タンパク質-タンパク質相互作用の大規模スクリーニング法として、哺乳類細胞ツーハイブリッド法を改良し、ハイスループットにタンパク質−タンパク質相互作用のスクリーニングを行っています。

細胞内におけるタンパク質‐タンパク質相互作用を調べる方法には、多くの手法があり、最も強力なツールの一つがツーハイブリッド法です。ツーハイブリッド法は、酵母細胞を使用する系として開発された方法です。酵母細胞は取扱いが容易な反面、高等生物のモデルとして使うには限界があります。そこで、哺乳類細胞を用いたツーハイブリッド法(mammalian two hybrid; M2H)が開発されてきました。この方法は、基本原理は酵母ツーハイブリッド法と同様で、転写因子がDNA結合ドメインと転写活性ドメインに分離できるモジュール構造を利用するものです。哺乳類の培養細胞を用いる実験系であるため次のような利点があります。

  • 目的に合った細胞株を利用することができます。
  • 糖鎖付加、リン酸化、アシル化などの翻訳後修飾を受けるため、より自然に近い状態でのPPI検出ができます。
  • 酵母細胞の実験系では細胞に発現ベクターを導入してから結果の判定を行うのに3−4日かかるのに対し、哺乳動物培養細胞を用いた場合トランスフェクション後1−2日で結果を得ることができます。

通常のM2H法では、タンパク質相互作用を調べるために、目的の遺伝子が挿入された発現ベクターを構築しなければならないため、大規模なスクリーニングを行う際には、発現ベクターの構築に多大な労力を要します。そこで、当研究グループでは、発現ベクターを構築することなく、目的の遺伝子とGAL4 DNA結合ドメインやVP16転写活性化ドメインとの融合タンパク質を発現するコンストラクトをPCRを利用して作成し、レポーター遺伝子をもつベクターとともに培養細胞にトランスフェクションする系を構築し、ハイスループット化しました(図1)。

改良型M2H法
図1 改良型M2H法

また、融合タンパク質を発現するPCRコンストラクト、レポーター遺伝子をもつベクター、試薬、細胞はすべて自動分注機で添加するだけの実験系とし、培地の除去や洗浄などの工程を省くことにより、1日で384穴プレート120枚分のスクリーニング(約20,000アッセイ)ができるようになっています(図2)。

タンパク質
図2 理研の自動タンパク質‐タンパク質相互作用スクリーニングシステム

参考文献

  1. H. Suzuki, R. Saito, M. Kanamori, C. Kai, C. Schonbach, T. Nagashima, J. Hosaka, and Y. Hayashizaki, The mammalian protein-protein interaction database and its viewing system that is linked to the main FANTOM2 viewer, Genome Res,13, 1534-1541 (2003)

  2. H. Suzuki, Y. Fukunishi, I. Kagawa, R. Saito, H. Oda, T. Endo, S. Kondo, H. Bono, Y. Okazaki, and Y. Hayashizaki, Protein-protein interaction panel using mouse full-length cDNAs, Genome Res,11, 1758-1765 (2001)